さっきまで、飲み会に行っていた。
後輩の女性2人と、同期の男が1人。3人で飲んでいたらしく、同期の男からお誘いがあった。ちなみに女性は2人とも既婚者である。
俺は仕事中だったが、心が削れるようなしんどい会議を終えた後で、もう帰ろうと思っていた時にLINEが入った。
ここで断れば良かったのだが、誘いを断るのがどうも嫌で、『明日早いから、顔出すだけならいいよ』と返信すると、二次会で合流しよう、という流れになった。
明日、朝から先輩の事務所の支店開業に向けて、ネットワークを接続する無給の仕事がある。しかもやったことのない拠点間の専用線接続、そこに音声データも載せるための特殊な設定をする。という、我ながら訳の分からないことをやる予定になっている。
やり方はネットに出ているから、たぶん出来るはずだが、ネットワーク系は設定が完璧だと思っても、繋がらない事は日常茶飯事だ。しかも、経験のない設定となれば一発OKの可能性は低い。拠点間は30~40km離れており、ミスした際の物理的な移動コストも大きい。
ネットワークは繋がって当たり前、しかも繋がった後で、業務システムの設定を終えて、ようやく明日の仕事は達成される。
そのため、明日はかなり神経を使うので、睡眠不足は大敵である。
それでも俺は「いい人」だと思われたくて、参加を承諾したのだ。行かない事で見捨てられて友達がいなくなるのが怖いから…じゃないな。より正確には、失望されたくなくて、かな。非常にバカげたことだが、自分は価値のある人間なのだ。と証明したいような気持ちがある気がする。
飲み会に合流すると、後輩も同期もそれなりにアルコールが入っており、特に同期の男の絡みが鬱陶しい。最近、自己啓発系のYouTubeをよく見るが、結構な割合で「飲み会は時間の無駄。金を置いて切り上げろ」というフレーズを思い出していた。
22時を過ぎ、時間も時間なので帰る素振りを見せると、
「帰れるわけないでしょう?」
「歌を聞かせてくださいよ!」
「明日は頑張って起きればいいじゃん!」
と、前頭葉をマヒさせた狂人共が好き勝手言ってくる。
俺は財布を取り出し、万札を同期に渡し、帰ろうとするが、帰れない。
もう1枚、札を取り出し同期に掴ませ、強引に席を立ち、帰ることが出来た。
…はぁ、2時間程、大してうまくもない焼き鳥や刺身を食べ、妙に濃い青汁みたいな緑茶を2杯飲んで、2万か。
金がないことを解消するために、ちょこちょこ節約していたけれど、今日の一撃で一気にマイナスだ。誘いを断れなかった心の仕組みのせいで、貴重な金と時間を失った。そもそも急な誘いを一度断って切れるような友達なら、切れてしまえばいい。
そのはずなのに、断ることに異様な抵抗感がある。こういう変な設定を、それこそ浄化して消さないと、これから生き辛くなる一方だ。
それにしても、居酒屋2時間で2万って。歓楽街なら別のサービスが受けられるんじゃないのか。
…知らないけど。
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