実家に帰ると肩がこる

雑記

今日は実家へ帰ることにした。

高速を使えば、車で一時間程度のため、それほど大変でもない。

ただ、母親の一方的な話を聞くことを想像すると、二の足を踏んでしまう。

とはいえ、これから年度末になるし、休めなくなるかもしれない。

マイナンバーカードの登録をするように指示しておいたが、ちゃんとやってくれたか確認もしたいしな。

「帰ってくるときは必ず電話しんさいよ!」

という、謎の条件を課せられているので、事前に電話した。

普段汚ねぇ格好でもしているのか、まぁ、急に家に入られるのは家族でも嫌か…。

そんなわけで、電話を掛けると、10コールくらいして出てきた。

母親は耳が少し遠いのもあるが、着信番号をじっと見つめて、

何かしら思考したのちに受話器を取るという習性がある。

なので、10コール程度しなければ在宅か不在かわからない。

スマホは3、4年前に買って持たせてみたが、目覚まし機能とスーパーのチラシのチェックくらいにしか使っていない。

LINEはおろか、電話すら使わない状態だ。

これまで情報機器に全く触れていなかった人に、いきなりスマホ渡しても使えないことがわかった。

何度か教えようと試みてみたが、話が通らない。意味が分かっていないのがわかるので、最終的にはロック解除のパスワードだけ覚えてもらった。

考えてみれば当然だが、ホーム画面とかアプリ、インターネット等のベースとなる知識がなく、いわゆるITと呼ばれる情報通信技術の概念が脳内にない。

「インターネットはこれに入っとるんじゃろ?」

みたいな質問をされる。

入ってるわけじゃないが、繋がっている。まぁブラウザが入っているから、

入ってると言っても大外れでもないか…。

ともかく、そんな母と話す。

「帰ってくるん?ええよ。おいで」

何とも声が弱弱しい。体調が悪いのか聞いてみると、腰が痛いという。

去年、背骨を圧迫骨折したので、コルセットを付けていたが、

その影響だろう。痛みをかばうせいか、腰や太ももの筋肉が痛むらしい。

平日は1日置きに病院に行き、痛み止めの注射を打っているらしい。

う~ん。どうにかしてやりたいが、

思い付くのはたんぱく源である玉子や納豆を買っていくくらいである。

一応、「鶏舎で飼っています」と書いてある高めの玉子と、

納豆コーナーで一番高い奴を買う。

実家の玄関をくぐると、意外に元気そうにしていた。

仏壇に線香を上げ、おりんを鳴らす。

…父ちゃんよー。腰痛いって言ってるから、直してやってよ…

手を合わせてそんなことを思っていたが、霊にそんな力はないか。

昔はテレビでよく心霊番組をやっていたものだが、悪霊に憑りつかれて体調が悪くなったとか、そんな話があったと思うが、逆に体調を良くしてくれる霊の話はなかったように思う。

霊は悪化専門なのか、それとも直してくれるタイプの霊は、もっといいお供え物がいるのかも知れない。

それはそれとして、母親が延々と話しかけてくる。

病院で注射を打たれたとか、役所でこんなことを言われたとか、お釣りの500円玉がくすんでいたからあのスーパーは良くないとか、機械的に相槌を打っているだけなのにお構いなしに言葉を吐き続けてくる。

それらは聞き流しながら、

母親のスマホに、マイナポータルとポイントポータルをインストールし、

口座連携、保険証連携がされている事を確認した。

どうやらちゃんと役所には行ってくれたみたいだ。

地上の役人もちゃんと仕事をしてくれたらしい。

うちの母親を相手にするのは難儀だっただろうに、有難い事だ。

用事は済んだ。

帰ろうと玄関で靴を履いていると、お茶やら水やらレトルトの食べ物やら、お土産に持たせようとしてくる。その間も延々と話しかけてくるので、水だけもらって強制的にドアを閉めた。

これは錯覚だが、ドアの向こうで延々と、もう居ない俺に話しかけている感じがした。

逃げるように車に乗り、実家から少し離れた公園の近くに停め、

建設中のサッカースタジアムの骨組みを見ながら、パイプ煙草で一服する。

パイプ煙草はゆったりと優雅に吸うのが美味しいのだが、

今日は完全にストレス解消のための喫煙となった。

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