もう5~6年前になると思うが、今の見えない力系の先生達がラジオ配信的なことをしており、その中で、神社参拝の話題になった。
「神社にお供えをすると、雰囲気が変わる」
「ありがとうみたいな感じで、『ぴょこん』ってなる」
…みたいな話をされていた。一言一句こうではなかったと思うが、
神社が返事をしてくれる、みたいな話だった。
『ぴょこん』て何だ?
本当にそんなことが起こるのか?
興味を持ったらとりあえずやってみるのが、たぶん俺の良いところだ。
当時、ほとんど神社にも行っていなかったが、近所の氏神様を参拝する際、
お酒をお供えしてみた。
…。
……。
…別に何も起こらない。
本当は何か起こっているのに、俺では感じ取ることができないのか。
ちぇっ。
「ちぇっ」って実際に口にする奴は珍しいが、俺はたまに白々しい感じで口にする。
まぁいい。
当時の俺は神社や見えない力系の話に興味を持ち始めたばかりで、
気の何たるかもわかっていなかったし、稲荷も降りてなかった。
ほとんど何も信じていない状態だった。
…まぁ、今でも気の何たるかはわかっていない。
当時よりは理解しているつもりだが。
まぁいい。それはいいとして…。
それから怪しげな修行…の末、めでたくお稲荷さんの縁を持てたり、
神社の気もちょっぴりわかるようになった頃のこと。
東京の人形町でセミナーが開催されており、
あまり行く機会もない場所なので、近くの神社を参拝しようと探していた。
「水天宮」という、どこかで聞いたような、比較的大きな神社が、
東京都中央区の日本橋にあるのを確認した。
たぶんGoogleMapで見つけたのだと思う。
『よし、水天宮に行ってみよう!』
ご利益も何も大して考えないまま、水天宮に向かった。
水天宮は比較的町中に存在する。
コンクリート造りの割と新し目の美術館のような建物の上に、
本殿が鎮座している。
水害対策か何かで、コンクリートの建物で地面から底上げしているのかも知れない。
そこで立札だったか、由緒書きだったかに、「子宝と安産祈願」がご利益であると書かれていた。
…なるほど。
当時も今も、俺は独り身なので、まずは相手がいないと子宝は授かりそうもないし、
安産に至っては機能的に縁がない。
ふむ。でもせっかく来たし、何かの縁だ。
当時、産休に入ったばかりの後輩の係員がいたので、
『安産で母子ともに健康でありますように。』
と、お参りしておいた。
それから数か月が経って、その係員が無事出産したと伝え聞いた。
しかもその後に聞いた話では、陣痛からわずか数時間で産まれ、
めちゃめちゃ安産だったらしい。
すぐに水天宮を思い出し、
おおっ、まさに霊験あらたかだな!
と一人、嬉しくなった。
とはいえ、偶然かも知れないしなぁ。でもなんか凄いよな。
と思っていた。
そしてまたしばらくして、同じ先生の企画で東京に行く機会があったので、お礼参りに水天宮を参拝することにした。
『後輩が無事に出産できました。超安産だったと聞きました。ありがとうございました。』
みたいな感じで、お礼を伝えた。
顔を上げると、目の前の本殿が、『ぴょこん』と動いたように見えた。
本殿が、実際に飛び跳ねたわけではない。
氣、としか言いようがないが、それが、ぴょこんと跳ねたのだ。
あ、神社、本当に返事してくれるんだ。と初めて思った。
後にも先にも、こんなにはっきり神社から返事をしてもらったことはない。
まぁ、そう感じ取れたことはない、というのが正解かも知れない。
でもあれは、神社からの「どういたしまして」的な返事だったと、俺は思っている。
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