神棚担当

とことん怪しい見えない力の話

今日も、先輩の事務所の支店開設に伴うシステム設定の手伝いをしていた。

昨日、専用線の接続が成功したため、今日は割と気楽だった。

ネットワークさえ繋がってしまえば、クラウド電話は業者任せだし、業務システムの設定はどうということはない。

しかし、俺にはもう一つの重大な仕事がある。

神棚の設置である。

新しい支所長になる人に、神棚に祀るお札を頼んでいるのだが、それがない。

こればっかりは、事務所の長になる人が神社から頂いて来てもらわないといけない。

神棚セットは俺が買ってきたが、御札は事務所の主人でないとダメである。

昼飯の時に、これから登記をどうするとか、看板をどうするとか、仕事の話題で持ちきりだったが、話の切れ目を縫って、

『どうにか御札を頂いて来てください!』

と頼んだ。

思ったより反応が良く、

「僕も気になっていたので、午後に行ってこようと思います」

という具合だった。割と信心深い方なのかもしれない。

程なくして、「これでいいですか?」と御札を手渡された。

以前に『御札は寝かさないでください』と頼んでいたのだが、ちゃんと覚えてくれていて、御札が立った状態で渡してもらえたのが、何気に嬉しい。

電気や什器の設置に長けたメンバーの一人が、その場で神棚を置く棚を東向きの高い場所に付けてくれた。

方角と高さは確認済みなので、問題ないはずである。

神棚設置の方角は、南向きが良いが、東向きでも良いという。北向きは良くない。って神棚セットの説明にも、御札が入っている外袋にも書いてあった気がする。

神棚の高さは、その部屋で最も高い場所が望ましい。というか一番高くないとダメらしい。

神様のおわす場所より高いところに何かを置いてはNGというわけだ。

ヒマそうにしていた法人の代表の方に、水、塩、餅(米の代わり)を買ってきてもらうようにお願いした。

水は水道契約がまだなので、ミネラルウォーターで代用。

塩は安いが「瀬戸内海の海水を使用」と書かれている、精製塩っぽくない奴。

餅は越後製菓の個包装になっているもので、申し分ない。

法人の代表は、榊まで買ってきてくれていた。

新しい支店の長が、榊の水替えまでしてくれるのか不安ではあるが、買ってきてもらったので榊もセット。

神棚に御札をお迎えするわけだが、御札が2枚あった。

天照大御神をお祀りするいわゆる神宮大麻と、氏神様の御札の2枚である。

神棚は一社造りのものを買ったため、御札を収める社は一つだ。

こういう時は御札を重ねても良かったはずだが、氏神様が手前なのか、奥側なのか。

とりあえず氏神様を手前にして、壁に取り付けてもらった棚に、神棚を設置。

…悪い感じはしないが、御札の手前と奥の並び順の掟があって、背いていたら何か嫌だ。

ネットで調べても良かったが、ここは先生に聞いておくのが確実だ。

急遽神棚の写真を撮り、先生に送信。神宮大麻と氏神様、手前と奥はどちらでしょう?

今日は回答もらえないかもな、と思っていたら速攻で、

「手前が神宮大麻、奥を氏神様にされるとよいです(恐竜)」

という返信があった。

最後の恐竜アイコンの理由はわからないが、御札を逆にしていたことはわかったので、すぐさま御札の手前と奥を入れ替え、お祀りしなおした。

ビフォーアフターで、ぱっと見のビジュアルはほぼ何も変わらない。

変わらないが、神宮大麻を前にした方が、より軽い感じがしたので正解に違いない。

聞いてよかった。そして速攻で返信してくれた先生ありがとう。

俺は今の事務所の繁栄は、神棚をちゃんと祀ったからに違いないという思いがあるので、今回も無事設置出来て何よりである。

「5年後には沖縄に支店を増やしたい」と夢を語っていたが、毎日水と塩を替えてくれれば、叶うのではないだろうか。と密かに思っている。

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