久しぶりに何か書くか…。
このところ、何もなかったわけではなく、いや、何もない日なんてものは存在しないと思うが、まぁいい。
新年度になり、指定金融機関があり得ないようなミスを連発するのでその対応に追われたり、人事異動で配属された年上の部下がかなり難しい人で対応に頭を悩ませたりしていた。
その度、何か文章にして残そうと思っていたのだが、このところ何も書いていなかったので、やる気が出ず、後は「お前は文章ではなく動画をやった方がいい!」っていうアドバイスを受け、動画制作かー面倒くさいなぁ、って思って結局作らず、そして文章も書かないという何もしない生活が続いていたのである。
そうこうしているうちに、日常生活に疑問を感じ始め、そんなに悪い事もないのに日々がつまらなくなって、鬱々とした日々を過ごしていた。
SNSもログインしては、お知らせを開いて何も見ずに閉じる。こうすることで赤で囲まれた数字の吹き出しが消えてくれる。あの新着の赤で囲まれた数字があると落ち着かないからだ。
何か…本を出している人や、久々に投稿している人もいるな。
友達…ではないのかな、知り合い…よりは仲良しだと思うが、表現が難しいな。仲間?
まぁ相手が仲間と思ってくれているかは謎だが、ともかく仲間たちはアクティブに活動しているようだ。
俺はその間も4月くらいに風邪を引いて、風邪は治ったと思うが、ずっと喉が変だ。
ずっと何か引っかかっているような感じがする。一度、コンビニの担々麺を食べたら血が止まらなくなって、恐怖して耳鼻科に行った。
内視鏡を鼻から突っ込まれ、下向けだの右向け左向けと指示を出され、胃の入り口付近まで丹念に見てもらったが、何もないという。見た感じ何もないが、血が10分も15分も出続けるのは普通ではないと言われた。
結局何なのかはわからない。とりあえずパイプも控えて週に1回くらいしか吸わなくなってしまった。
そんなつまらない日々を送っていたある日、エネルギーの先生とチャットで話す機会があった。
「元気になるため、山でも登ったらどうですか?山が合ってると思いますよ!」
山か。確かにこんな生きてるのか死んでるのかわからない状況で過ごすくらいなら、変化があった方がいいかな。そんな気持ちになって来た。
「…知らんけど」
なんだよ知らんけどって、まぁ先生は関西人だからそういう生き物だと思うことにしよう。
ともかく、だ。
山。山だ。山に登ろう。
近所の山頂に、白鳥神社があるが、まだ行ったことがない。
車でも行けるらしいが、歩いて行くのも良いかもしれない。
「弥山ですね!」
とも言われていたな。
弥山とは、厳島神社のある宮島の山だ。一時期、神降ろししようとして、毎月のように通ったことがある。そして神頼みする用件もない事に気付き、やめたのだ。
弥山か…少し遠いがそれも面白いかもな。近所の山はまた今度にするか。
肚は決まったので、弥山に登ることにした。週末、早起きでもないが遅くもない時間に起きて、車で宮島を目指す。
宮島行きのフェリー乗り場に着くと、まるで祭りのような人だかりがある。前行ったときはコロナ渦だったから、フェリーは空いていた。今回は座る席がないほど混んでいる。普段行く事のないフェリーの三階まで昇り、数席空いていた場所に腰かけた。
周りに目をやると、半分くらいは外国人だ。正面に日本人らしき家族連れがいて、父親によく似た顔の姉弟が菓子パンを分け合って食べていた。
程なくして宮島に到着。
ここに来るのも数年ぶりだ。フェリーの込み具合から覚悟していたほど観光客はいなかった。それでも繁華街の人通りよりは多くの人間が溢れていた。
弥山は標高…535メートルらしい。今ネットで調べた。
前登ったときは1時間ちょっとかかったと思う。今回は天気もいいし、水を1.5リットル、コンビニのおにぎり3つ。お菓子一つ、家から持ってきたキウイを2つ、チーズの欠片一つ。あと、煙草を吸いたくなるかも知れないからパイプセットと、タオル2枚。
そして…弥山は龍がいるかもしれないから、御神体となる石を持って行く。
フェリー乗り場から厳島神社まで歩いて行くのだが、この時点で気付いたことがある。
荷物が重い。重すぎる。
5キロ以上はあるだろう。何でこんなにものを詰め込んでしまったのだろう。
まぁいい。
すべては今更だ。車は本土の駐車場に置いて来た。フェリー乗り場からも離れたからロッカーもない。ロッカーがあったとて、何を置いて行くか決められないだろう。
嫌な予感を抱えつつ、厳島神社で入場料300円を支払って参拝する。
前と比べていろいろ変わったから、感じ方も違うかな。少し楽しみにしつつ、拝殿の前でしゃがみ込む。鏡が目の前にあるが、淡くぼんやりとしか感じない。観光客が多いからか、元々神様はこんな感じだったろうか。
ともかく、俺は山に登りたいのだ。
厳島神社を後にして、瀧宮神社って小さな社を通過する登山コースから登り始める。この神社がいい感じなので、俺はこのコースが好きなのだ。瀧宮神社は、麓から少し登った場所にあり、ここまで昇るのに疲れた記憶はない。
が、
しんどい。まだ1/10も登っていないだろう。もう足が悲鳴を上げている。
なぜだ?思えば相当運動していない。そして何だこの荷物の重さは。鉛でも入ってるんじゃないか?
不安を覚えながら、瀧宮神社を参拝し、登山道…ほとんど手作りの階段なのだが…を登っていく。
きつい。最初の茶屋跡、神社から少し上がったところにある、チェックポイントともいえる感じの場所なのだが、ここまで登るのに息が切れ、足が上がらない。心臓は早鐘を打ち、鼓動を意識していないのに、振動なのか、物理的な音なのか、鼓動音が伝わってくる。
これは…無理かも。
最初の茶屋跡で一息つく。
鞄からキウイを取り出し、皮のままかじる。家で水洗いしたので、農薬も多分大丈夫だろう。しかしこの皮やたら固くて外れのキウイだな。キウイの皮はコンビニ袋に入れておこう。自分で食べるのではない。後で使うことになるだろう。
しかし…この茶屋跡で道程の半分くらいだったろうか。標識を見ると、6/24丁。と書いてある。まだ1/4!?
心が折れそうになる。
とはいえ、疲れるのが目的みたいなところがあるので、気を取り直して登る。こんなに急だったろうか。そしてこんなに長かったっけ。
登りながら、日々の葛藤が頭を巡る。
これに感謝を感じられたら、多分俺は一皮むける。そんな気もするが、疲れが心身を蝕んでくる。
階段の途中で立ち止まり、大袈裟に呼吸し、水を飲む。水だけは大量に持ってきた。やたらと重いが、飲めばその分軽くなる。そう思って飲むが、荷物は全然軽く感じない。むしろ重い。何だこのかばん、人でも入っているのか?
心で悪態を吐くが、すれ違う人がいる時だけ、姿勢を正して挨拶をする。
疲れていない感を出すのは何の見栄だろうか。
途中、小川を渡る場所で、水が汲めるので、手足と顔を洗う。
ついでに石も洗っておく。
そうだ、今日は龍を降ろしてやるのだ。
だが、このあたりから気分が悪くなり、もはや龍降ろしどころではない。ここに来た目的も何で奥宮を目指しているかもよくわからない。ただ、奥宮まで行けば帰ることが出来る。思考が意味不明な状態になっていた。
たまに石塔が道しるべ的に立っており、「十八丁」と書いてある。
18…頂上が24だから、結構来たな。
奥宮頂上じゃないし、そろそろ仁王門があるはず。あそこまで行けばほぼゴールみたいなものだ。
少し元気になって、仁王門を目指す。
鹿の親子が道を歩いていた。
鞄のコンビニ袋から、キウイの皮を取り出し、鹿に投げてみる。
親鹿が貪るように食べ、近づいてきて次を期待した顔で待機している。
可愛くないので小鹿に皮を投げてみたが、見向きもしない。
人間に警戒しているようだ。
仕方なく可愛くない親鹿にキウイの皮を全部くれてやった。
たぶん、鹿に遭遇すると思っていたので、皮を取っておいたのだ。
不思議な事に、鹿にキウイの皮を与えた後、少し体力が回復した。
神の使いだから。とか言うつもりは無い。
人は社会性のある生き物だから、誰かのために何かをすると嬉しくなるように設計されているという。
これもそういうことだろうか。
程なくして、仁王門に到着。
仁王門のベンチで、おにぎりを食べる。おむすびと言った方が力が出るんだったか、そんなことを考える余裕もなく、鳥ごもくおにぎりが胃の中に入っていった。
ここからは楽に歩けた。
すぐに奥宮である御山神社に到着。
やたら声がでかいじじいの登山者3人がいなくなるのを待って、
御山神社を参拝。
空が晴れ渡って、社殿がとても美しい。
社殿は3つあり、
市杵島姫命が主祭神で、中央に祀られている。
左に田心姫命、右に湍津姫命が祀られている。
少し元気になっていたので、欲が出てきた。
龍は見当たらなかったが、神様はいる。
ここは、数年前にできなかった神降ろしだ。
一応、繋ぐことは出来る…と思っている。
お作法をして、接続を試みる。
淡い。とても淡い何かと繋がった感覚がある。
これは…神様はこんな感じだろうか。
エネルギーの先生に、石の写真と社殿の写真を送る。
『力を貸してください!って頼んでみました』的な事を書いていた。
山頂付近の御山神社は、電波が入ったり入らなったりである。
入る時はバリバリ入るのだが、岩陰などは全然である。
送信できたのかよくわからない。
まぁいい。
今日はもう十分だろう。
下山を開始する。
もう少し登ればお寺もあれば、展望台もあるが、
身体がくたびれ過ぎているし、目的は果たした。
割と意気揚々と山を降りる。
くだりの方が膝に負担がかかるというが、
筋力がいらないので、非常に楽である。
行きよりはるかに短い時間で茶屋跡に到着。
一息ついてると、スマホに返信があった。
「まだいますか?力を借りた後どうするか向き合うともっと入りますよ」
な、なにー!
もっと入るとな。
しかし、茶屋跡まで戻ってしまった。75%は下山が完了している。
身体はボロボロである。
そして次なるメッセージが届く。
「登ろう!」
まじで言ってる?
この先生は弥山を登った事ないのでは?
本当にきついんだぜ。鬼か?鬼なのか?
そういえば鬼に会ったとか言っていたような…。
いや、それはともかく、どうする?
もっと入るだと!ちぃ~ッ!
やってやる!もう一回登ればいいんだろうがよー!
「3/4降りたのか。キツ笑」
笑、じゃねぇよ!
嗜虐的な先生のメッセージに怒りを覚えるが…
違う!
これはただの八つ当たりだ。むしろチャンス!
神降ろしのチャンスを下さったのだ。むしろ感謝!
だが体はボロボロだ。
意を決して登る。
一日で二回登った事あったろうか。
しかもこのボロボロの状態で。
二回目は案の定、さらに地獄だった。
少し登ると、足が熱い。
空になったペットボトルに小川の水を入れ、手に掛けながらちょっとずつ進む。
コンビニでこれだ!と思って買ったお菓子を開封。
チョコがドロドロに溶けていたが、それでもおいしかった。
そんなこんなで、2時間はかからなかったが、2度目の御山神社。
教わった心持ちで、改めて参拝。
社殿の気配が違う。
疲れているからか?気配が重い。
ぐぅ~っと身体に迫る様に何かが入ってくる感覚。
重たいが…近いし、これは何か入ってるぞ。
そして、この感じ、知っている。
数年前、金縛りに遭ったとき、ゴーレムみたいな巨人が枕元に立ってて、
口から黒いドロドロを頭に掛けてきたことがあって、
その時の感覚に似ていた。
あのドロドロは液体の様だったけど、ゲロではなくて情報だったんだと思う。
なぜかそう思った。
あ、荒唐無稽な話だが、神降ろし自体荒唐無稽なのでついでである。
もう一度石の写真を撮って、先生に観てもらう。
「重いけどいいです!会話できるレベルで入ってますよ!」
よっしゃー!
やったぜ!
ドラゴンジャックとは行かなかったが、市杵島姫命さんをゲットしてしまったぜ!
何か不敬な気もするが、この感覚は久しぶりだ。
弥山を二回登った甲斐があったぜ。
二度目の下山、気持ちは軽いが、足取りは重い。
一度目にはなかった、ひざの痛みが出ていた。
&頭痛。
まぁいい。成果に犠牲はつきものだ。
そんなわけで、久々に何か書こうと思ったら延々と書いてしまった。
またまた怪しい話、でした。
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