魂を削って弾け

そういえば、趣味でギターを弾いている。
一応、ヤマハの音楽教室に週1で通い、出席率はまぁまぁのはずだ。

ギター歴…17年くらいだと思う。
ギター歴17年って、相当凄い気がしてくるが、俺の腕前はなかなか…
なかなかのひどさである。

未だにアドリブなんて出来ないし、弦を1本ずつ引くアルペジオも満足にできない。

簡単なコードをじゃんじゃん弾くだけである…やばい、何か格好悪いぞ。
数年に1度、そう思い立って練習するのだが、これが長続きしない。

今のギター教室の先生は、たぶん西日本でも有数の腕前だと思う。
前にウクレレ一本で情熱大陸を弾いていたが、
奏でる音楽がウクレレ一本から出ているものとは思えない程重厚で迫力があった。

当然ギターも異常に上手い。
教え方も上手だと思う。

それなのになぜ、俺の腕前はなかなかのひどさなのか?

それは、家で練習しないからだ。
どんなにいい先生に付こうとも、本人の性根がなってないと、物にはならない。

たぶん、目標設定の話になってくるのだと思うが、
俺はギターを始めた当初、地下会社員だったのだが、
ギターが上手い同期の男から、

「ギター弾けたら、一人カラオケできるよ!」

って誘われ、ギターをやることにした。

俺は昔カラオケが大好きで、延々と歌っていた。
歌を歌うようになったのは高校を卒業した後からだが、
妙に歌を褒められるな…と思うようになり、
俺ってもしかして、歌が上手いのでは?

と調子に乗るようになった。

当時から、歌を歌うときは、魂を削っているイメージがあった。
(なんでみんな魂を削って歌わないんだろう?)
みたいに思っていた。
魂を削る感じで歌うと、やたらと「届く」感じがするのだ。

なので、カラオケで適当に歌っている人とかを見ると、
(なんでこの人はこんなに手を抜くんだろう)
と思っていた。

まぁいい。それはいいとして、

そんな歌を、ギターを弾きながら歌えるなんて、なんて素晴らしい!
それに、何か音楽が出来る人みたいに見えるじゃあないか!
と思い、

『ギターは何となく弾ければいいので、弾き語り出来るようになるぞ!』

という、低めの目標を設定していた。

それから数年、弾かない時期を経て、急に練習始めたり、紆余曲折の末、
何となく弾き語りが出来るようになった。

当時は大興奮で楽しんでいたのだが、いかんせん、
俺の目的は歌う事であり、ギターを弾くことではなかった。

なので、まぁ、上手くならない。

練習に気が入ってないから当然なのだが…。

そんなこんなで、17年が経ち、いまだに何となくは弾けるが、
ちゃんとは弾けないという残念な状態である。
ただまぁ、当初の目標は達成しているのだが…。

それでも今年も、音楽教室の発表会にエントリーした。
出る気はなかったが、楽器屋の店員さん達から、

「ぜひ出てください!」

と言われたことが大きい。

あと、コロナ的なものが過ぎているので、舞台の上で歌える(弾き語り+バンド)のも後押しになった。

音楽教室の発表会は、ボーカル、ギター、ドラム、管楽器、キーボード等々、
様々な生徒たちが、寄せ集めのバンドを作って発表会を行う。

普通、歌はボーカル教室の生徒が歌うのだが、
弾き語りする場合に限り、ボーカル教室でなくとも歌うことが出来る。

毎回、ボーカル教室の生徒たちを全員倒すつもりで舞台に立っている。

なんて書いていると、ボーカル教室行けよ。って気になってくるが、
ギターを弾きながら歌うのがいいんじゃないか。

と思う。

俺の歌が実際どうなのかは、第三者の判断に任せるしかないが、
去年、音楽教室でもらった、自分が歌う姿を録ったDVDを見て、

『こいつ、あんま上手じゃねぇな…』

と思った。

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