今日、仕事で大学の教授にアドバイザーという形で会議に参加してもらうための、事務処理をしていた。
教授個人に事前にOKをもらい、その上で所属している大学に依頼書を提出し、大学からも許可を得なければアドバイザーになってもらえない。芸人に仕事を依頼するのに、事務所を通すような感じだろうか。
手続きはそんなに難しいものではない。大学のホームページを見れば、手順や様式がすべて載っている。所定の書類をダウンロードし、記載例に従って記入し、提出するだけだ。
役所対大学になるので、役所側で決裁を取り、送付する流れになる。
「この申請書を大学に提出してもよいでしょうか。」みたいな伺い文を作り(起案という)、大抵は課長の決裁まで取れば相手方に送付できる。
決裁は課長で止まっていた。単に忙しいからではなく、言いたいことがある様だった。
「前回(数年前に)送付した際の鑑文と同じような文章を付けてほしい」
というものだった。4~5年前のWordファイルで鑑文は存在する。作成時に前回のファイルは一通り見ているので、鑑文の存在には気付いていたが、無視していた。「…どうかお引き受け頂きますよう、お願い申し上げます…」のような、へりくだり過ぎた文章が気に入らなかったからだ。
教授や大学側でアドバイザーが意に沿わないなら、断ればいい。まぁ実際断られたら次の候補を探すのが面倒には違いないが、『どうか!どうか!お願いいたしまする!』みたいに、時代劇でお代官に直訴するみたいにしてまで頼むことか?
大して高くもないが報酬も支払うんだから、普通に失礼のない文章だったらいいだろうがよー。
って思うのだ。課長は「大学」、「教授」などというわかりやすい権威に、性根がひれ伏しているように思える。
書類を提出する案を作る前に、「失礼があってはいけないから、事前に教授を訪問して話をしましょう!」って言っていた。
アドバイザーやってくれますか?って聞くだけで、わざわざ訪問して、「いいよ」「だめだよ」って聞きに行くのか?電話やメールでアポ取る時に聞けばいいじゃん。初見ならまだわからんでもないが、この教授は2期務めてもらっているので、今回は3期目になる。何事もなければ、まず継続になる流れである。わかり切った答えを聞くために訪問する。絶望的に馬鹿馬鹿しい仕事だ。
課長の上司の会計管理者に、一応お伺いを立ててみると、「わしも行った方が良いと思う」という回答だった。
…俺がズレているのだろうか。
教授にアポを取るために、メールを書いた。課長が送付前にメール本文を見せろという。メール本文をWordに転記して渡すと、結構な修正が入る。
できるだけ簡素に書いていたが、過剰な敬語に修正され、『差し支えなければメールでやり取りさせて頂いてよいか』の文言は削除された。どうしても会いに行きたいらしい。
担当を自分の名前で送ることに抵抗を覚えながら、メール送信。
程なくして、教授から返信があった。
「引き受けるから、わざわざ来なくていい。書類だけ出して」
…そうっすよね、教授。
ちょっとだけこの教授を好きになった。
コメント